女川町海岸広場プライベートキャビン
デザインコンペ 一次審査通過案
海辺の秘密基地
海と山に囲まれた、自然豊かな計画地。
それらの自然やそこに関わる人や食や体験に勝るものはないでしょう。
そこで、その場所に佇むキャビンには目的を持たせないことにしました。
のんびりと海や山を眺めながら、あるいは視界を遮ったキャビンの中で、プライベートな時間を自由に過ごす秘密基地です。
だらだらゴロゴロ、好きに過ごしてもらいます。
街歩きの後で、お昼寝するもよし。
ぼーっと景色を眺めて考え事をするもよし。
キャビンの外でコンクリート管と遊ぶ子供達、座ったり休む人もいるでしょう。
内外の境界があいまいな小さなキャビンは、敷地や景色までも基地の一部にしてくれます。
何をするわけではないけれど、居れば少しくつろげたりワクワクする、秘密基地のようなプライベートキャビンを目指しました。
コンクリート管で秘密基地
既製品の鉄筋コンクリート管を配置して、秘密基地をつくります。
置いて埋め戻すだけで大がかりな基礎工事を不要とし、予算内での計画が可能です。
土木用建材であり、現在も土木工事が続く女川町の工事業者でも容易に扱えそうなことも選定の理由です。
何よりも、秘密基地のような隠れ場所を想起させやすいマテリアルだと考えました。
軸線は湾口方向にして、カーテンをオープンした時は海を眺められる計画にします。
キャビン周囲の計画として幾つかのコンクリート管を配置し、休憩や遊び場となるような空間をつくります。
中低木等を配し、コンクリート管を周囲から少し見え隠れするようにして秘密基地を演出しました。
だらだらゴロゴロするキャビン
だらだらゴロゴロできるよう、床でのアクティビティに重きを置きました。
そこで町の木である杉のフローリングを床仕上げとしました。
ゆっくりくつろげるよう、温もりを感じられる床を計画しています。
建築工事を減らすため、その他の造作は小物ベースで室内を整えます。
ハンモック、クッション、ラグ、飲食を置けるトレー、床置き照明、等を想定しています。
湾口方向に開いたガラス建具側には目隠しとしてカーテンを準備します。
秘密基地に隠れて、ゆったりキャビンで過ごすこともできます。
人と時間とグラフィティアート
敷地と隣接してスケートボードバンクがあります。
コンクリート管表面を、ボーダーのグラフィティアートの表現の場として提供することを想定しています。
施設名のグラフィティをお願いする、季節ごとの表現の場として提供するなど、時間と共に関わっていけるキャビンを目指します。
敷地内には小さなコンクリート管も配置して、ベンチや寄りかかれる屋外家具のように扱われることを期待してます。
キャビン外でも、ゆっくりした時間を過ごせる秘密基地です。
子供の秘密基地
海岸広場内には、子供たちが遊べるマッシュパークがあります。
キャビン計画地とマッシュパークは広場の両端に位置しており、小さな子供連れの利用者がキャビンでくつろぎながらパークで遊ぶ子供を見守るには、少し距離があります。
そこで、キャビン周囲でも遊べる環境を計画したいと考えました。
子供達がちょっとした遊びを想起できる仕掛けとしても、コンクリート管は機能します。
登ったり渡ったり隠れたりと、子供にとっての秘密基地も提供していきます。